なぼのこと

*写真は自宅とかではなく、旅行先で撮ったカフェの写真w 映えかと思って…
これは、このサイトが始まった頃、自己紹介として公開していた内容です。
世は平成とは名ばかりの、昭和の勢いが色濃く残る時代の、Windows 黎明期?のお話しですので不適切な表現も多々あるかと思いますが、これもひとつの歴史ですのでここに残しておきます。アーメン。
なお、文中に出てくる Access サポート窓口は当時存在した 90 日間無償サポートであり、現在の有償のサポートとはまるで異次元のものです。
1. ばぶりー
時代は中曽根総理の頃。
NEC系オフコン、汎用機で COBOL 開発をしていたが、バブルがふくらみはじめた頃会社を退職してフリーに。
それまで在籍していた会社から主に仕事をもらい、月産 10000 ステップを武器にがんがん稼ぐ、稼ぎまくる。
・・・が良かったのは1年足らず。あっという間にバブルははじけ、仕事は消えるようになくなり、仕事をくれていた会社(つまり、前勤めていた会社)が一瞬にして倒産。
それまで月収 80 万だったのに、次の月はなんとゼロ
当時は今のような VB も Windows もない時代。(Win3.0 があるかないかという頃)
ソフトウェア業界全体が冷え切ってて、この頃廃業したソフト技術者も多いんじゃないだろーか。
が!なぼは負けてはいられなかったのだ。なんたって生活がかかってたし。
キーパンチャーをしていたこともあり、キー入力の速さには自信があったため派遣会社に登録。
データ入力など細々とやりながらなんとか暮らすうちに、Windows3.1 の発売!
「そうだ、これからはだうんさいじんぐでうぃんどーでじーゆーあいだっ!」
わけわからんがとにかくそう思ったわけである。
ただ単に派遣会社から来る仕事が Windows 関連ばかりだったからという訳では断じてない(はず)。
2. 出会い
そーこーしてるうちにMicro○oft から「Access」というデータベースソフトが発売される。
汎用機でもオフコンでも、リレーショナル型データベースは扱っていたので、こりゃーイケるだろうと「秋葉原の店頭で Access のデモンストレーションをやる」という仕事を何も考えず受ける。
派遣会社での講習を1日だけ受けたが、先生だってよくわかってない。そらそーだ、発売のためのデモなんだから、使ったことある人なんているわけないのだ。
よくわからないながらも使ってみて、その手軽さ、機能のすばらしさに驚愕した。
「これが2万円だかそこらで市販されるの?!いままで使ってた RDBQ だの SMART だのっていったい何?!??!」
ご存知の方もいるかもしれんが、RDBQ とはNEC系オフコンに搭載されてるリレーショナル型データベースメンテナンスツールである。
SMART は簡易パラメータ解析型言語。レポートだのフォームだの(のようなもの)が問い合わせ式で聞いてくるパラメータを入力するとできあがってしまうというツールである。
どっちも当時はよく使ったものであるが、どっちとどう比べても、操作性機能速度どれをとっても Access には遠く及ばない。
すっかり Access のとりこになってしまったが、当時まだDOS/Vなんて高くてとても買えない時代。(最低で30 万はした)
DOS ぐらいしかまともに動かない NE○98 だって 20 万以上したのだ。
バブルはじけてひーひー言ってるなぼにそんな金があるはずもなく、自分で勉強なんて夢のまた夢。
ここでいったん Access との関係は絶たれる。
3. 再会
短期でなら開発系の仕事もぼちぼち出てくるようになった。しかしソフトウェア業界の冷え込みは相変わらずである。
2~3ヶ月単位の短期の仕事をこなしていたなぼに、新しい仕事がやってきた。
「まい○ろそふとってところで、あくせすっていうソフトの電話サポートの仕事なんだけど」
わが耳を疑った。
こんな、こんな願ってもない仕事が来るとわっ!!
もちろん二つ返事で受けたことはゆーまでもない。
そして Micro○oft でのサポート生活が始まった。
天下の Micr○soft のことだから、さぞやシッカリ教育してくれることだろう、わくわく。
・・・などと思っていたがさすが外資系企業、教育といっても器が違っている。
マシンを1台ほいっと与えられ、「自分でセットアップして、FD はあそこにあるから」これで終わりである。
(当時は FD 主流というか CD に入ってるソフトなんてなかったんだよな…時代が判るなぁ)
つまり、仕事やる気があるんなら自分で勝手に覚えてちょうだいということなのだ。
この時点でしっかり自分で勉強できる人材でなければウチは使う気はないよ、という意味なんだろうと勝手に解釈した。
こっちにとっては願ってもない環境である。
いままで勉強したくても金がなくてできずにいたことを、給料払うから勉強してくれだなんてあんた、ナミダがちょちょ切れるぐらいありがたいっすよぉ。(ToT)
とにかく必要と思われるものはなんでもある。雑誌、書籍、文房具から飲み物に至るまですべて使い放題飲み放題。
特に、カップベンダー式自動販売機が無料なのには驚いた。
コーヒーだけでなく、カ○ピスだのオレンジジュースだのコーラだの、なんでもじゃーじゃー出てくるのだ。
圧巻なのはリ○ルゴールドかな。これが無料で飲めるとこなんて他に知らないぞあたしゃ。
4. 電話
前述のとおり燃え燃え状態で2週間ほど自分で勝手に勉強していたが、それを過ぎるといよいよ「電話トレーニング」である。
といってもいきなり電話に出られる訳はない。先輩がユーザーからの電話を受け、答えているのを横でただ聞いているだけである。
インカムと呼ばれるヘッドホン式の受話器を使うのだが、1電話機につき2本インカムがつけられるようになっている。
そのインカムを1本借りて、横で盗み聞きしているのだ。(もちろんそんなことユーザーは知らない)
しかし、ただ聞いているだけとバカにしてはいかん。めちゃくちゃ勉強になるのだこれが。
1本の電話につき経験値が 10000 ぐらい入るようなもんである。まさにリアルはぐれメタル。1日2時間くらい聞かせてもらえるのだが、1日たつともうレベルが10ぐらいはあがったような気持ちになる。
ただ聞くだけのトレーニングを5日間こなすと、次の週からはいよいよ「電話に出る」ことになる。
これもいきなり一人で受け答えできるわけがない。妙に専門的なことを聞くユーザーだっているのだ。いいかげんな返答はできませんからね。
聞くだけトレーニングの時は先輩が答え自分が聞いていたが、今度は役割が反対になる。つまり、自分が答えて先輩が聞いているのだ。
なかなかに緊張するが、だいたいの流れは5日間のヒアリングで身についている。あとは質問に対する回答をどうするか、だが・・・
一筋縄でいくわけがない。ユーザーは自分より詳しい場合が圧倒的に多い。
中には「MDBファイルのコピーってどうすればいいんですか~」のような即答5秒で終わる質問もあるが、大概の質問は絶対に即答なんてできない。
でも、聞いてくれている先輩にしたって、即答なんかされちゃ困るのだ。絶対いいかげんな答えに決まっている。
質問が終わった時点でいったん保留にし、わたしはこう答えるつもりです、と先輩に説明し正しいことを確認してからユーザーに答えなくちゃいかん。
ところがなぼはそうじゃなかった。どうやらなぼってせっかちだったみたい…すーぐ即答してしまうのである。
それが正しけりゃ問題ないが、正しいわけがない、横で先輩があわてて手を振っている。「保留!保留!!」
…またウソをついてしまったらしい…謝らなくっちゃ…
先輩が横で聞いていてくれるのも5日間限り。次の週からは本当に自分ひとりで電話に出なくてはいけない。
最初のうちは快調だった。質問を受け、調べ、回答するプロセスは実に楽しかったし、1本電話に出ると自分まで賢くなったような気持ちになったし、実際そうだったと思う。
難問にぶち当たった場合は相談にのってくれる先輩たちの役割もきちんと決まっていて、相談先に困るようなことも(あんまり)なかった。
が、それも最初のうちだけだった。
5. トラブル
ご存知の方も多いと思うが、Accessの電話サポートはつながりにくい。現在は多少は改善されたかもしれないが、当時は20分30分待ちはあたりまえ。
5分待ってつながれば「あっ速いじゃん」と思うぐらいだ。
実際、電話が鳴ってすぐに取ったら、ユーザーがびっくりして沈黙してしまったということもあった。
しかし、だからといって、20分待ったからといって、電話に出るなり
「ちゃんとしようやおらぁ!!こっちゃぁ仕事してんだからぁ!!!」
と、ヤ○ザまがいのもの言いで怒鳴りちらすのはどうかと思う。だいたい仕事なのはそっちでなくこっちだと言いたい。
いきなり怒鳴られたってこっちは何故怒っているのかまったく解らず、おろおろすることしかできない。
とりあえず「申し訳ありません」とは言ってみるが、理由もわからず謝ったってむこうだって納得しない。
こーゆう場合はとっとと上司に電話をまわすに限る。この時の上司は聡明公正な人物で、ユーザーのいいぶんと派遣社員・社員の言い分をすべて公正に聞き分け、その上での判断ができる人だった。
こんな電話、そうそうあるもんじゃないんでしょとお思いだろうが、そうそうあるのである。
毎日1本は最低でもある。怒鳴る、怒る、ヒステリーを起こす、日常茶飯事である。
なぜ人間は、面と向かって言えないようなことでも、電話なら言うのだろう?
こういう人たちも、実際にこの場で会って質問するのならどんなに待ったとしても丁寧なものごしで質問してくれるのだろう。
なぜ電話だとキレてしまうのか、受け手が人間であることを解っているのかと思ってしまう。
このような電話が続くとさすがに、電話を受けるプロセスを楽しむなんて気持ちはどっかへ行ってしまう。
1日5時間トイレも行かず電話に出ているのに待たせるなと言われても…
5時間?少ないじゃんと思うかもしれないが、空いた時間は休憩ではない。電話で頼まれた調べものをする時間なのだ。
1日8時間働くとすると、3時間しか調べる時間がない。絶対的に足りないのだ。当然残業になる。
30分単位で電話スケジュールが決められているため、続けて3時間とれるわけでなはい。30分の空き時間でいったい何を調べろというのだ。
トイレにも行かずと書いたが本当である。電話に出ると決められた時間にはトイレに立つことは許されていない。(わけではないが、なるべく行かないでねと言われている。許されないも同然)
いくら飲み放題でも、これではコーヒーも落ち着いて飲めないというものだ。
6. アウトソーシング
こんな生活を半年続けていたら、なんと3Kg体重が減った。
なぼは結構な体格(どんな体格かは、御想像にお任せします…)で、何度もダイエットを試みているがそのとき体重が上下するだけで、痩せたまま維持していたことなど数えることしかないが、このときは別だった。
甘いコーヒーをがぶ飲みしても、お昼にデザート類をバカ食いしても、全然太らないのだ。それだけ大変だということだったのだろうが、これはうれしい誤算だった。
ちょうどその頃、Micr○soft 社内に「アウトソーシング化」の波がやってきていた。
サポート部門の、電話に出る部分を切り離して外の会社に業務委託するというものだ。
前述の上司M氏は当初これに反対していた。彼の意見は、「ユーザーに対し質のよいサポートを提供するには、現状のメンバーでサポートを続けるのが良策だ」というものだった。
Word や Excel と違い、Access はアプリケーション開発ツールにより近い位置にあった。M氏はこれを主張したが、当時は受入れられなかったようだ。
かくしてAccessの電話サポート部門はアウトソーシング化されることに決まり、外注先の会社の社員が研修をかねてやってくるようになった。
なぼは派遣社員なので、アウトソーシングが始まれば真っ先にクビを切られる立場にある。Micro○oft 社の方針は、派遣社員は契約期間満了後の契約延長はしない、ということだった。
外注先の会社では逆に社員を募集していた。なぼもそっちに応募すれば当然採用されたんだろうが、Micr○soft 社内で電話を取れないのなら、サポート業務なんてやってる意味がないのだ。
外で電話を取るとなると、Micros○ft の資産は使えない。情報もすべて1日遅れになる。(決してジュース飲み放題でなくなるのが嫌だったのではない、たぶん)
そんな環境で、怒鳴られ続けながら電話に出る気持ちは全然なかった。
M氏には悪いが、もう一回は期間延長する予定だったけれどもその前に辞めさせていただいた。
Windows95 が発売になり、世間は大騒ぎしている頃だった。
大変な思いもしたけれど、Mic○rosoft には本当に感謝している。Windows のこともろくに知らないなぼを、Access の達人にしてくれたのだ。
7. その後
Micro○oft を辞め、そろそろいいトシになってきたので正社員として某ソフトウェア会社に就職。
そこではもちろん、「Access の達人」としてたいそう期待されていたようである。(実はAccessおばちゃんと呼ばれていたことは知っているがとりあえず不問)
もっちろんなぼだってそのつもりであった。せっかくあれだけ大変な思いをして覚えたのだ、Access から離れるつもりは毛頭ない。
ところが。
入ってみると、この会社で作って売っているパッケージソフトはVB2+Oracle7.1+Access 1.1であった・・・・
なぼがサポートとして働いていたのは 2.0 が売り出された直後からである。1.1 については動かしたことがないわけではないが、それほど詳しいわけじゃなかった。
DAO のバージョンだって 1.1 と 2.0 じゃー全然違うのだ。
おまけに Oracle。ODBC についての質問は Access サポート窓口で受けることになってはいたが、ODBC 関連の質問電話は主に社員の人たちが出ていたので、派遣であるなぼはろくに環境のつくり方も知らなかった。
ここでも、結構な経験をすることになるらしい・・・・・
8. 職務経歴
2年間みっちり(?) Visual Basic と Oracle について学び、その会社を退職。
その後もあちこちの会社をさまよったけども(をいをい)、現在はまぁなんとかようやっと落ち着き先を決めてほのぼのと(うそ。めっちゃ過酷)働いてます。
ということで、軽く現在のスキルをまとめてみましょうかね。
*年数は重複しています
言語 | 年数 | OS | 主な内容 |
---|---|---|---|
COBOL74,COBOL85 | 13年 | NEC系オフコン、汎用機 | 財務会計、売買管理、在庫管理など ビジネスアプリケーションならたいがいのことは・・ |
Access(1.1、2.0、95、97) | 4年 | Windows3.1,Windows95,NT4.0 | Micr○soft社にて電話サポート1年 |
Visual Basic(2.0,5.0) | 3年 | Windows95,NT4.0 | 人事パッケージシステム開発、メンテナンス |
Oracle 7.3 PL/SQL , Developper/2000(16ビット) | 9ヶ月 | NT4.0 | サプライチェーン関連システム開発、メンテナンス |
Oracle8 , oo4o , VisualStudio6.0(VB) | 5ヶ月 | Windows98 | 格付会社向け 請求システム |
・・・年数だけはスゴイけど、どーも経歴としてはインパクトに欠けるよな(^_^;)
ちなみに、いまは開発はまったくタッチしてないっす。.NET?ナニソレー
だいぶ前の話だけど、2chでこのページのこの記事が紹介されたらしく、そりゃもうすごい勢いでアクセスされてたが、どこそかの誰ぞやさんが「このページだけ」を読んで「結局プログラミング嫌いで仕事が嫌なんだから早く結婚しろ」って感想を述べてくださっていましたが、そらどーもご心配ありがとう。お願いだからもう2chへうpるのやめてね。
最後に。
サポート業務から離れ、前述のソフト開発会社に就職したら、1年で10Kg太った。